前編に続いて、ファンダム文化についての記事を翻訳しました。韓国アイドルとファンダムの存在【前編】
韓国アイドルを語る上で欠かすことのできない存在"ファンダム" 今回の「防弾少年団×秋元康」騒動もこのファンダムの存在がどれ程の影響力を持っているのか、あらためて示しました。 以下、韓国ハンギョレ記事の翻訳です。
本文中に「私が推すスターは私が育てる」といった文化がPRODUCE 101を契機に強まったとあるのですが、このシステムは今回防弾少年団で問題視された秋元康のビジネススキームですよね(おにゃんこ、48グループなど)韓国のアイドル文化はどちらかというと事務所が完璧なまでに完成させたものを見せる、というスタイルだったので。そして今年PRODUCE 48というプロジェクトが生まれた訳ですが、なんとも皮肉だなと思いました。
韓国アイドルとファンダムの存在【後編】
昨年12月にはアイドルグループGFRIEND(ヨジャチング)の所属事務所がメンバー写真を使用した180cmサイズのクッションを制作して販売したところ、ファンたちが“性商品”と抗議。ハッシュタグなどで不買運動を行った。自分たちの応援するスターを性的対象とすることを防ぐという努力だ。所属会社は最終的に販売を中断した。
スターが誤りを繰り返す場合にはグループから脱退を要求したりもする。
最近ジェクスキス、カン・ソンフンの個人ファンクラブが寄付金を横領したという疑惑に包まれているうえに、彼が「ここは清潭洞(チョンダムドン)だ」として道路を走る果物を積んだトラックを卑下する映像が公開されるとすぐに彼が脱退しなければジェクスキス コンサートをボイコットするというファンたちも登場した。
コンサートをボイコットするのはジェクスキス全盛期の“オッパ部隊”では想像もできないことだ。スーパージュニアのファンたちもメンバーのカンインが飲酒運転を繰り返すとすぐに彼の脱退を要求したことがある。ムン・ヒジュン、スーパージュニアのソンミン等もファンたちからボイコットにあった。
変わったファンダムは寄付から始まった。“朝貢文化”(※朝貢とは、朝廷にみつぎものを差しすること)といってファンたちはお金を集めてスターにプレゼントをしてきた。約10年前からはスターの名前で善行を行う寄付が続いたが、最近の寄付は歴史と環境まで考える。
7月には俳優イ・グァンスの中国ファンクラブが連合して中国西部砂漠化防止のために木1000株を森に寄贈した。アイドルグループEXOのファンクラブは家賃と運営費困難になっている釜山(プサン)慰安婦歴史観を後援した。
ファンダムの成長は憧れの対象だったスターが今や“育てる存在”と認識されたからだ。キム・ソニョン大衆文化評論家は「<プロデュース101>が人気を呼ぶなど3~4年前からスターは育成する存在で見なされる。私のスターは私がちゃんと育てなければならないという考えがファンダムにはある」と話した。実際にARMYは直接作った広報コンテンツをYouTubeなどに上げて防弾少年団を知らしめた。
ファンたちがメンバーの組み合わせを行ってデビューしたグループJBJの例もある。キム・ソニョン評論家は「ファンは私が“推す”スターなんだから模範を見せなさいということにもなる。私のスターが正しく成長するほど私の自尊感も高まる」と話した。
キム・ユナ音楽評論家は「SNS等のメディアが発達して、ファンたちは以前よりはるかにはやくて組織的に自身の意見を表わすことができる。コミュニティ、ハッシュタグ運動などファンダムたちが声を大きくあげて、これを報道機関などメディアが注目することによって所属事務所やアーティストの反応を早くキャッチする流れができたのがファンダムが変わった最も大きい理由」と話した。ファン層の年齢層が多様化したのも色々な考えが交わって合理的な結論に到達するようになったという分析もある。
ファンダムの声が歴史、社会問題まで拡張されたところは韓国コンテンツがYouTubeなどグローバルメディアで絶えず消費されているからだ。チャ・ウジン音楽評論家は「2014年、ぽっちゃりした女の子が男の子を誘惑しようと痩せて可愛くなるという1人の女性歌手のミュージックビデオがYouTubeに上がるとすぐに海外ファンたちの間で議論になった。 当時韓国の反応は“特殊メイクするのに苦労したようだ”程度の反応だった」ということだが、「韓国創作物がいまや国内だけのものでなくグローバルコンテンツということを認識し始めて表現一つ一つに気を遣うことになったのだ」と話した。また、「いわゆるグローバル世代である最近の10~30代が社会問題に対する批判的意識が高いなど、世代が変わったのも変化の理由」といった。Wanna One(ワナワン)のあるファンは「韓国を代表する模範的なグループになることを願いながら、歌詞やインタビューなどを几帳面に読んでみる」と話した。
ファンクラブ同士で“私のスター”のイメージを良くさせようという善意の競争も影響を及ぼす。キム・ソニョン評論家は「ファンダムが問題に対処する模範的な事例を残せば、その影響を受けて他のファンダムがそれに続いて普遍的な文化で作り出す」と話した。
緊張関係は重要だが、創造力を阻害することになるという憂慮も出てきている。チャ・ウジン評論家は「何よりも創作する人々の覚醒が必要だ」と話した。
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